工務店の探し方ガイド [その2]

前回の続きです

 

3:工務店が欲しがっているビジネスの規模と自分たちの建築規模が一致すること

その工務店(設計事務所)が普段扱っている仕事の規模が4000万クラスのビジネスであるところに、2000万の予算の仕事を持ち込んでも、もちろん仕事としては受けてはくれるでしょうけど、慣れがない部分のことはどうしても平均的な仕事にしかならない面があり、その工務店ならではのメリットは得難いと考えて良いかもしれません。

 

2000万の家なら使える建材、工法は限られてしまいますから、そこにそんなに多くの選択肢がある訳でもなく、どこに頼んでも大きく変わらない側面はあります。つまり、2000万では大きな夢は語れないのです。それでも最後のちょっとした工夫が出てくるか出てこないか、というところで夢が語れれば、お互い話は弾みますよね。

 

特に設計事務所は都内だけでも膨大な数がありますので、はじめから2000万の規模のビジネスを取る、という方針で自分たちのビジネスを差別化していく工夫を日頃からしている所はいくつもあります。2000万の予算ならそういう設計事務所なり工務店に頼む方が、計画も上手くいく可能性は高いと思われます。予算が2000万なら夢を語るより諦めることの方が多くなってしまうことは避けられませんが、であればこそ、尚更ちょっとした工夫のような部分ができるできないの差は大きい気がします。

 

住まいを新築する計画であっても相手のやる気を引き出してナンボ、という部分は間違いなくあります。住まいを新築することに限らず、技術のある人に、その人があまり普段努力を積み重ねていない領域で自分の理想を押し付けてみたところで、それが良い結果を生まないケースはとても多く、むしろ相手が日頃の努力を積み重ねているものを引き出す方が上手くいくことが多いのではないでしょうか。そういう部分で、自分たちが持ち込むビジネスの規模が、その工務店(設計事務所)が準備の段階で取りたいと思ってるビジネスの規模と一致していることも、とても重要な要素の一つになっていくと思われます。

 

4:何かしらの工務店どうしの付き合いがある

工務店の倒産リスクですが、今は法改正等もあり、完成保証制度や瑕疵保証制度を全て第三者機関を通す形が普及していますので、そういった保証を第三者機関に登録されている工務店であれば、工事機関中、また引き渡し後に万が一依頼先が倒産してしまった場合でも建物は最低限は保証されますので、大きく心配をする必要はないと思われます。もちろん、そういった保証が付かないところは候補から外します。

 

もっとも第三者機関の保証が付いたとしても、個々の工務店の経営基盤を含めた力量を見極めることも必要だと思われます。

 

webサイト上や広告だけでその工務店や設計事務所の仕事に対する考え方のようなものや力量を判断することは難しいのですが、工務店どうしの付き合いがない、或いは完成保証制度を利用する際の、お互いの指定工務店の仲間に入れて貰えるかそうでないか、というのは一つの材料になるかもしれません。真面目にやっている工務店にとって、完成保証制度の発動は単純に負担であり、つまり「簡単に潰れるようなところとは組めない」という前提でお互いを指定工務店として組合を作っています。そういう工務店どうしの付き合いに参加できている工務店は、プロの目から見ても経営が安定している、と見られている訳です。

 

必ずしも大きい組合でなくても良いと思います。工務店の勉強会の中には4〜5つくらいの工務店どうしで勉強をし合うような小さな団体もあるのですが、構成工務店の実績が数年に渡りそれぞれ安定しているのであれば、そこは十分に信用に価する団体と言えます。

 

その工務店なり設計事務所のブログがあるなら、着工数等も必ず確認しておきましょう。ブログやfacebook等に掲載されている記事の中で半年毎のペースで何かしら新規着工があれば、工務店としては回っていると考えて良いかもしれません。ただし、webに掲載される施工状況は、今は施主の許可がないと工務店の方で勝手に掲載できませんので、単純にその数だけで判断することはできない面があり(施主に掲載を断られる場合もある)、それでも半年毎に安定的な新規着工が確認できるのであれば、とりあえず話を聞きに行って良いと思われます。

 

以上の4点が良く言われる工務店(設計事務所も含む)の絞り込み方にはなります。そこで実際に絞り込んでみれば、自分たちのニーズに合った工務店(設計事務所)、という話になれば、都内であってもそう多くの選択肢がある訳ではないということは分かってくるとは思います。とりあえず最初は5〜6箇所、大雑把にでも抽出できれば途方に暮れるような感覚はなくなってくると思います。その次に絞り込んだ工務店(設計事務所)に話を聞きに行って、そこがどういう考えで仕事をしているのか、そういうことを聞きだせる準備をこちらでしていく段階に入っていきます。抽出したところに話を聞きに行ってみたらちょっと違う、ということになれば、それはそれでその経験が生きてきます。最初は見過ごしていた、あるいはピンと来なかった所を候補にあげ直して、また話を聞きにいくと良いのではないでしょうか。

 

工務店側はwebを見ただけで全ての情報を提供してしまうとお客を掴めない、ということを今はもう理解していますので、webでは入り口になることを目指し、余計なことをしていないケースが多くなりました。ですから新築計画のある方はどんどん工務店にアポを取って話を聞きに行って良いと思いますし、違うと思ったらどんどん断って良いと思います。相手も断られることも織り込み済みで話をしてくれますから。

 

前回の補足

ジャンル別けの話ですが、各項目を組み合わせて考えると分かり易いと思います。例えば洋風、オーガニック、庶民的という組み合わせならサーファー風の人たちの暮らす家というイメージになるかもしれませんし、洋風、オーガニック、絢爛豪華なら今流行の地中海系の建物というイメージになっていくのかもしれません。