ウチが工務店を選んだ理由(その1)

f:id:roboccon:20160222004607j:plain

個人の注文住宅の設計施工を請け負ってくれる業者としては大雑把にハウスメーカー工務店設計事務所+施工会社の3種類がある訳ですが、ウチはその中で工務店を選びました。設計事務所なんかで建てるお洒落な家に全く憧れがない訳ではありませんが、お金の話をするのもヤボな話しですけど、憧れは憧れのままなのでした。

 

ウチはそもそも家は基礎、構造、断熱のグレードで住み心地とメンテナンスのし易さ(結露など)が決まるという考えでずっといますので、基礎、構造、断熱が世間で言われている標準的な仕様のままでは不足していると思っているのです。大げさな物言いを承知で書いてしまえば、基礎、構造、断熱はグレードの高い仕様でやっと意味がある、くらいに思っていますので、そこの予算は削らないというのが一応の方針としてありました。もちろん、それをバッチリ揃えた上で見た目もお洒落に出来たら言うことないのですが、色々調べたり話しを聞きに行ったりすると、やはり「両方」は無理そうだな、と。

 

そこでどちらか片方となると、工務店の方が自分たちの求めるバランスに近い物を作るかな、と思った訳です。両方欲張れなくもなさそうでしたが、欲張った結果、見た目も中途半端、質も中途半端、という出来上がりになったら嫌だなというのもありました。何せ、やり直しの利かない一発勝負ですからね。

 

設計面から見て、敷地として面積約110㎡(建物の幅として使えるのは4間)、侵入部分が北側に一箇所だけ、その間口が2.0mという条件なので、玄関の位置はほぼ決まってしまいますし、南側に個室や居間を持ってくることを前提とすれば、間取りとしてはどこに頼んでもそう多くのバリエーションを考えられる敷地条件ではないのは大きかったと思います。

 

少し話は飛びますが、建物の形が複雑になればその分建築コストは高く付いてしまう訳です。外壁の量や屋根の面積、耐久性を確保するコスト等を含め、木造では正方形の2階建て構造が一番安く建てられるのだそうです。ですから理屈としては前面道路の幅が広く接道幅も広く、正方形の整形地が一番安く建物を建てられる、ということになる訳ですが、ウチの敷地はその条件からはそれなりに外れる敷地なので、元々建物自体の建設費がそれよりは高く付いてしまうのです。そこに予算3,000万という縛りが入ると、建物の形としてできることが限られてしまい、更に侵入口が一箇所、間口2.0mの縛りが加わりますから、間取りもそう色々やれる訳ではなかった、ということなのでした。結局、建築事務所や工務店にプランをお願いしても、間取りの部分ではそう大きな差は出なかったのですよね。

 

そうなると設計料や管理コストの割合を高くする意味がインテリアや天井の高さと形のような見た目の部分が殆どになってしまいますので、見た目にどこまで予算をかけるか、という判断になってきた訳です。

 

そこで、インテリアにお金を掛けて基礎、構造や断熱を標準にした場合と、基礎や構造、断熱等の家の見えない部分のグレードを上げるのでは何がどのくらい違ってくるのかということは一応、両タイプを体感として確認しておこうということになり、両方のモデルハウスを見に行った訳です。デザイナーズ系のおしゃれな住宅のモデルハウスは都内にもあまりないのですが、一部の住宅展示場に施工されている所がありますので、これから新築の予定のある方はネットで調べて是非、見に行かれることをお勧めします。

 

僕が見たデザイナーズ系のモデルハウスはデザインとしては地中海系の洋風・オーガニック・ゴージャスな路線で、センスも大変お洒落で「見た目」だけなら申し分ありませんでした。これで基礎や構造の質が自分たちの思うレベルだったら言うことなし、という感じでした。営業の方は「基礎も構造もそこで手を抜いたら意味がないじゃないですか私たちの家はそこもちゃんとしています」と言っていました。

 

と、言ってはいましたが、僕はその昔ずっと仕事で木材を扱うことをやっていましたので材のグレード(等級じゃなくて繊維質の密度とかそういうの)は触れば分かるのですが、そのモデルハウスで使われていた木材はそんなに高いグレードの材ではありませんでした。特に窓枠のようなあまり目立たない所で使用されている材の手触りは明らかに安い材で、がっかりしてしまう部分はあったかもしれません。材のグレードはその建物を使用した際の触り心地に直接関わる所ですから、五感を使った暮らしを楽しみたい方なら材のグレードは使い心地を左右するものだと考えて良いと思います。そこの感触が安物、というのは自分にとっては割とマイナス要因ではありました。

 

床の踏み心地も良いものではなく、フローリング材はもちろん、ひょっとしたら梁や他の構造材のグレードも低いかもしれないという疑問は持ちました。もっとも、そのメーカーは木造2階建てなら構造計算をしない方針のメーカーなので、材の良さが発揮できる負荷以上の負荷を構造材にかけてしまう設計をしている可能性があり、そうなると材の良さもなくなってしまう訳ですが、とりあえずそこはちょっと分からなかったです。

 

あとは前にも書きましたが、床の水平の精度は大工さんの腕そのものと言って良い部分でもある訳です。つまり、失敗をしても「まあいいや」で済ませない習慣を自分に課している人でない限り、その大工さんが高い精度で床の水平を出せることは決してない訳ですから、そこで失敗を誤魔化す人かどうかのフィルタリングがある程度はできる訳です。僕が見たデザイナーズ系のお洒落モデルハウスは、その部分の施工精度が僕たちの期待したレベルにはありませんでした。僕ら一般の人間は一発勝負で施工を頼むしかない以上、その日頃の習慣で業者さんのフィルタリングを掛けるしかない部分は、どうしてもあります。そういう意味で、床の水平が出ているかどうかは業者選びとして気にしておかなければならない、とても重要な要素なのですよね。

 

                                 (続く)