工務店の探し方ガイド [その1]

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前回、コンサルタントを利用するのもアリという記事を書きましたが、コンサルタントも仕組みとしては悪くはないが、やはり料金に納得がいかない、或いは担当者の性能が納得できない、という方もそれなりに出てくるとは思います。コンサルタントを利用するのも不透明には違いないしお金も勿体無い、ということなら自分で工務店なり設計事務所を選別していくしかなくなってしまいますが、でも、それはそれでむしろ良いことなのかもしれません。

 

ただ、東京にある工務店、設計事務所は本当に数が多く、どこから探せばいいのか見当が付かないというのはあると思いますので、前回の記事の繰り返しになりますが、こちらのリストに登録されている工務店の質は、私が実際に足を運んでみた実感としてかなり信頼できる工務店が並べられており、それなりに基準にして良いと思いますので、再掲載しておきます。

 

http://iedesign.ozone.co.jp/subscription/contractors

 

前回は話の流れで掲載しませんでしたが、設計事務所の方はこちらです。

 

http://iedesign.ozone.co.jp/subscription/architects

 

設計事務所は結構な数がありますので全部のサイトを訪れるのもそれなりの根気が要りますが、工務店の方は程よい数ですから、リストに掲載されているところを全て訪れてみるのはそんなに苦にはならないかもしれません。工務店でも設計事務所でも、気に入ったところにコンサルタントを介さず連絡を入れて、直接話を聞きに行くこともできます。

 

ここで注文住宅を建てた方々の間で良く言われる、実際に話を聞きに行く前の段階で「工務店(設計事務所)を絞り込む基準」のようなものを幾つか挙げてみます。

 

1:工務店のジャンル分けをしながら見る

工務店(設計事務所)にもそれなりにジャンルのようなものがあり、大雑把に洋館←→和風←→和洋折衷、モダンで都会←→オーガニック、庶民的←→絢爛豪華の分類で分けられると思いますので、その工務店が得意にしているジャンルが自分たちと違うのなら、いくらその工務店が評判が良いからと言ってその工務店に頼むと、自分たちの望んでいない建物が建ってしまう可能性がもの凄く高くなります。例えばオーガニックの要素を強調してくる工務店に、あまりオーガニックなセンスを求めていないご家庭が新築を依頼しても、お互いの幸せの為にはならないことは容易に想像できるとは思います。モダンな建物を建てたいと考えているなら、工務店のサイトに掲載されている施行事例にモダンな建物が多く掲載されている工務店を選ぶべきなのです。

 

この段階では細かいことは気にせず、とにかく印象だけで選んで良い、と言われています。ただし、今のwebサイトは水着写真を売り物にしているお姉さん達と一緒で、フォトショップの加工がデフォルトで行われていますので、写真はある程度さっ引いて見る必要はあるかと思われます。フォトショップでは安価な直ぐに痛んでしまうような建材をオシャレに豪華に見せることができてしまいますし、中身はかなりしっかりしている工務店のサイトで採用されている写真の印象がパッとしないこともありますので、あまり写真の印象に厳密になってしまうと、良い工務店を漏らしてしまう可能性があります。また、そこら当たりが一応頭に入っていると、後々工務店の施工物件を見せて貰った時の助けにもなると思います。

 

なお、設計事務所の場合、日常←→非日常の対立軸もありますので、そこも気にすると良いと思われます。工務店で非日常のジャンルで勝負しているところは、私は今の所、見たことがありません。

 

2:施行予定地に近い所で営業をしている工務店を選ぶ

工務店の場合は特にそうなのですが、自分たちが住みたいと思っている地域からあまりに離れている場所で営業している工務店は、やはり避けた方が無難です。工務店のサイトには必ず「施行エリア」と書かれてありますので、そこから大きく外れる場所に建築予定なら、例えその工務店を気に入っても、とりあえず施工予定地域に近い工務店を当たってみるのが良いかもしれません。

 

一つの理由として、例えば地盤の判断が同じ土地でも業者によって判断が分かれることがある、というのはあります。地盤調査の方法として、木造住宅の場合スウェーデン式サウンディング調査が一般的なのですが、それは地域によってはデータを取る箇所が2m違うだけで違うデータが出てきてしまう性質のものなのです。地盤の弱い地域で営業している工務店なら、出てきた数値を見ながら割と慎重に判断をする傾向があるのですが、武蔵野台地での施行に慣れている工務店だと、同じようなデータが取れたとして「地盤改良の必要なし」という診断結果を出してしまう場合もあったりします。

 

これは武蔵野台地で慣れている工務店が大雑把だから、というよりは普段仕事をしている習慣の部分もある訳です。明らかに地盤改良が必要なデータが出てくれば武蔵野台地の工務店でもキチンと地盤改良をするでしょうが、人によって判断が分かれてしまう微妙なデータが地盤の調査ではいくらでもある訳です。自然を相手にする訳ですから、いつもいつも竹を割ったようなデータが出てくる訳ではありません。逆に武蔵野台地に建てるのに下町エリアのような慎重な調査をすることが本当に必要なのか、そこでコストを掛け過ぎてしまわないのかという判断に於いては、武蔵野台地に慣れのある工務店の方が適切な判断をするでしょう。

 

もう一つ、東京の郊外に建て慣れている工務店は、全体としてやはり敷地の広い建物を得意にしている傾向がありますし、下町、城南エリアの工務店は20〜30坪の建物を得意にしている傾向があると思われます。もりろん、一概に言えることではないのですが、郊外は土地の値段が安い関係で、郊外の工務店は敷地の広い所の経験値がどうしても上がってしまいます。住宅密集地に建てる20〜30坪の建物は、やはりそういうエリアの工務店の方が経験値は上と言って良いでしょう。

 

地域によって必要な判断が異なってくるのが住宅建築ですから、そういった細かい判断の積み重ねで設計と施行をしていく以上、やはり建てる場所に近いところで普段の生活を営んでいる、その地域で建て慣れている工務店を選ぶ方が、その土地に合った良い計画と設計をするということはあると思われます。

 

                                  次回に続く